「コンドラシンは語る」より ストコフスキー 1
長老格の人の中で出会ったことがあり、演奏会もきいたのはストコフスキーです。彼がニューヨークで作られたばかりのオーケストラを指揮するのは1966年で最後でした。彼はそのときまで指揮しています――94歳です。でもいまは彼のことは耳にいたしません。
彼はベートーヴェンの交響曲第二番と自分で管弦楽編曲したムソルグスキーの「展覧会の絵」を指揮しました。わたしがリハーサルに行くと、彼はとても感じの良い人で、すぐに「suppe nach den probbe[スープでもいかがですか]」と食事に誘ってくれました、、、 自分にはリハーサルがあると話すと、初演に伺ってもよろしいですか、と関心をもってくれたようでした。リハーサルでわたしは腰を下ろしてベートーヴェンの交響曲第二番をききました。いや、違った、、、「オベロン」序曲です――見事な腕前でした。まあ、なによりもストコフスキーは絶対的権威です。彼は指揮棒を持たずにとてもそっけない動作で指揮しました。彼の腕が止まるだけで――みなは的確にその四分音符で演奏を止めます。彼は静かな声で指摘し、数字を言って、みなが見つけるのを待たずに演奏を始めます。とりわけ、もしも上手くできなかった場合はもう一度繰り返し、というように――本物の仕事でした、、、 私は、正直に言うと、噂で言われるように「指揮者一流、音楽二流」と見なしていました。必ずしもそうではなかったのです。彼は、もちろん、卓越した巨匠です。私の手元には、例えば、「ニュルンベルグ」から彼が編曲した、組曲のようなもののレコードがあります。これはワーグナー魂の業績[賜物]の観点からみて、卓越しているし技術的です。また、わたしがベートーヴェンの交響曲第二番を聞いたときは――これはとてもよく、ベートーヴェン的な力強さがあり、まったく年寄りじみていず、今日でもいきいきしたテンポで――まったく年寄りくささのないものでした。