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「コンドラシンは語る」より ミケランジェリ 2

コ:わたしが彼と演奏したのはあと二作品だけですね。フランクの交響的変奏と、わたしの記憶に間違いがなければ、ベートーヴェンの協奏曲第五番です。すべてが完全に違う風で異常なほどの気品に満ちていました。タッチはまったく理想的に洗練されています。わたしはどうして彼には理想的な楽器が必要なのかが分かりました。なぜなら彼が必要とするその性能、音色、強度が得られることを自ら確信する必要があったからです。彼の音楽にたいする態度はまったくイタリア的でなく、少しも軽薄なところがありませんでした。彼が何度でも演奏会をキャンセルするのは、コンディションが不十分と感じるからですが、そのために莫大な違約金を払います。彼はまったく破産状態だったそうです。彼は――気分のしもべです。彼が弾くときは、良く演奏できるときだけです。これは彼とよく会う人たちがわたしに語ったことです。
・・・・・・・・・・・(略)

彼については他に何を話しましょうか? 一度、演奏会後にアラム・イリイチ・ハチャトリヤンが自宅にわたしと妻を招待してくれたことがあって、さらにカレンと通訳の女性もいました。豪勢なご馳走でした――ミケランジェリはちょっと力が抜けたようになっていて、まあ彼はとても無愛想、控えめで口数が少ない人でした。会話はあれこれと及び、そしてハチャトリヤンはこの先どんな夢をもっているか彼に尋ねました。彼は言います。
「わたしの夢は小さなレストランを開ければいいなということです。とても料理が好きですから。いまもしお金があれば村に小さな家を買い、テーブル四つのレストランを設えて、喜んでわたし自身でお客をもてなしますよ」
「そこにご自分の友人を招待なさることもあるでしょうか?」
「わたしに友人はいません」
彼は微笑みながらそう言いました。多分それは照れ隠しかなにか、でも、おそらくは違うのでしょう、、、

          

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