ドレスデン・シュターツカペレは、1950年にわたしのことを認めてくれた初めてのオーケストラですが、わたしのことは噂になっています。ええと、オーボエ奏者のことについては話したでしょうか?
ラ:ええ、このオーケストラのことだけでなく、イタリアで、、、
コ:ちょうど1950年にはじめてドレスデンを訪問した折に大きな感銘を受けたのが、楽団の権威をどう保つのかということを目の当たりにしたことです。曲目は第一部にフランクの交響曲、さらに別の部にもうひとつ何かでした。彼らの流儀はこうです。部がはじまるたびに吹奏楽セクションではじめの音を変化させる。それでリハーサルではどのようにすり合せていくつもりかと毎回わたしは質問を受けました。最初のリハーサルでオーボエ奏者は、わたしの要求する通りにそのフレーズを正しく反復することが理解できませんでした。しかもこのフレーズはその後、弦楽セクションその他で同じように繰り返すのです。わたしが指摘して、彼はまた間違えました。わたしはもう一度要求しましたが、彼はもう吹きません。オーケストラが止まりました。
「ひとりで吹いてください」
彼は二、三回やってようやく正しくできるようになり、全体が上手くいきました。その次のリハーサルでわたしがフランクの交響曲を練習するときに見てみると、別のグループからきたオーボエ奏者が座っていました。まあ、つまりまた全部繰り返したわけなのですが、、、 休憩時間に責任者のトレーダー氏(その当時は主席指揮者がいませんでしたので)に尋ねました。彼は尊敬すべき人物で優れた音楽家――、メンバーの一員でヴァイオリン奏者でもあります。
「オーボエ奏者はどうしたんですか?」
「交代させました」
「交代させたって、なぜです?」
「彼に不満だったでしょう」
「ちょっと待ってください。わたしが誰かに不満だといいましたか。彼はちゃんと演奏しましたよ」
「指揮者が求めることを120人が理解している中で演奏者一人がそのことを分かろうとしないことは、わたくしどものレベルのオーケストラにとっては恥ずかしいことです。処分しました。終身給与がありますから、彼は経済的に困るわけではありません。でも思い上がった人にはこうしてお灸をすえるんです」
こんなことがあって減給以外の方法でどのようにオーケストラの権威を守るのかということが分かったのです。これがドレスデン・シュターツカペレです、、、